「常用漢字表」改正議論進む…過去の誤ちをどう清算するのか?

まあ鬱を外せだの鷹を入れろだのの話はマスコミ的視點には面白く映るだらうが、私が氣になるのはもつと地味なところである。(つーかさつき見た毎日jpの記事で知つたんだけど)

今回の改正は200字近い字數が追加される案のやうだが、その中に「潰」と云ふ字が含まれてゐるのである。

この字は戰後の「当用漢字表」に含まれず、そのため日本語“改惡”の象徵である1956年7月5日国語審議会報告「同音の漢字による書きかえ」により、「潰滅」と云ふ熟語は「壊滅」と書き換へられる憂き目を見たのだつた。
その後、おそらく「潰瘍」と云ふ語の普及により使用頻度が增えたのか、「潰」は「瘍」と倶に半世紀ぶりに日の目を見る事となつた訣である。
さて、こうなると「壊滅」をどうするかである。そもそも「同音の漢字による書きかえ」で勝手に當て嵌められた訣だから當然「潰滅」に戾すべきとも思ふが、「壊滅」の表記も定着してしまつてをり、今更戾すと云はれても、と云ふのも實情だらう。過去の好い加減な漢字制限政策のツケが今廻つてきた恰好である。

「同音の漢字による書きかえ」は單なる国語審議会の「報告」であり、文化廳はこの問題についておそらく見解は示さうとしない(示せない)だらうが、これを機に巷間の議論が少しでも進み、本邦における漢字表記體系の合理性、正統性がいくらかでも恢復されるやう願ふばかりである。

(今回は舊字體使用の爲、一部機種依存文字を使用していますので御諒承ください。まあ大槪讀めると思うのだが。倂しATOKの舊字體變換能力も中中見事だなあ。つーかこんだけ簡單に變換できるならそもそも新字体なんか止めて元の舊字體、もとい正字體に戾すべきでないのかとすら思う。)

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